仄暗い窓ガラスに映った自分の姿を見てはっとする。

あたし…こんな姿で廊下を歩かされてる。


―――そう。さっきまで居た部室でふざけて始めた王様ゲームで、こんな姿にされて、先輩の膝の上に座らされていた。みんなの目を盗んで、後ろからあたしの身体のいたるところを触る先輩が、真っ赤に充血した耳朶を甘く噛みながら、低い声で刺激する。

「もっとか?…なら後ろに手ェ回せよ。イイ子にしたら、…犯してやる」

さっきまで恥ずかしさで涙を溜めていたはずの双眸は、頬に睫毛の影を作りながらゆっくりと閉じられる。そして、黒のボクサーパンツに、指先を伸ばす。お尻に感じている屹立の硬さを確かめるために―――



目に入るのは、とろんと瞼が落ちかけブラウスから胸の蕾をツンと浮き上がらせた、見たこともないあたしの顔。三つボタンの開いた胸元からは、ピンク色に色付いた大きくもない稜線が息苦しそうに上下し、その先端が皺ひとつない純白のブラウスを掠めては緩く撫でる。ブラウスの裾から見え隠れする真っ白なショーツの多分濡れているところを隠そうと内股で歩く姿。そして、校章のワンポイントの付いた紺色のハイソックスがあたしの顔つきに反比例して、とても後ろめたい。

その姿を見ているだけで胸が高鳴り、動けなくなる。だらしなく開きかけた唇がやけに乾くのを舌でぺろりと舐めとると、先輩の声がした。

「おせーよ。…ったく、ほら。こっち」

「…は、ぅ…っン、…待って、…せんぱい…」

どこかイラついたような冷たい一言と放送室の扉に顎でしゃくる仕草に、あたしはトクントクンと鳴り止まない胸に絶望感とどこか期待を孕み、冷たい壁を伝ってふらつきながら放送室に入って行った。

真っ暗な部屋に着くなり、よろめいて崩れてしまったあたしの目の前に立ちはだかるのは、サッカーで鍛えられた太腿を包む学生服。そのグレーのスラックスから、白いワイシャツ、ネクタイに視線が移る。その先には予想通りに、酷薄な笑みを浮かべた、見たこともない先輩の顔。

「瞳、さっき負けたよなァ。だから俺が王様でイイんだよな?」

有無を言わせないような言葉を浴びせられると、首を横に振るしか出来ない。ツインテールの栗毛の毛先が、潤したばかりの唇に貼り付く。それを払うことも出来ずに、見下ろす視線に促されるままに膝立ちになり、冷たい床に付いていた掌をスラックスを通り越して、ベルトに伸ばしていく。



つづく

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